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魔法使いは火星を食べる 後編
薄暗い路地からそっと様子をうかがう。
眼鏡がきらりと光を反射する。
足に黒猫が絡みついた。




魔法使いは火星を食べる






なー。帰ろうぜー。おなかすいたよー。

下僕猫のシオンは、甘えた声で言った。
こいつはこういう時だけ、可愛いふりをする。
いつもはえらそうなのに(`皿´)ウゼー

とりあえず夢々だ。とにかく夢々だ。なによりも夢々だ。

僕の目的とは

この二人を別れさせること!!

こぶしにぐぐっと力を入れる。
魔法を使って、別れさせてやるんだ。
その為に昨日火星に魔法の力を分けてもらったんだ。

おい。

シオンは目を細めて言う。

魔法を私利私欲には使うなって言われただろう。

……
\(`Д´)/うるさーい
これは僕のためじゃない!
夢々のためなんだ。
夢々のためを思ってしてあげてるんだ!!




僕は、ぶすっとしたまま夢々の後を追いかけていく。
二人は、本屋に言った後、昼食を食べにファーストフード店に入っていった。

もう昼か。
奴め……隙がない。
僕のおなかが派手な音を立ててなった。
おなかがすいた。

シオンはおなかがすいたのか、呆れてしまったのかどこかへ行ってしまった。
まあ、いい。口うるさい奴がいなくなってせいせいする。

僕は空腹を満たすために道の脇にあった水道の蛇口をひねる。
お昼ご飯は水だ。

がぶがぶと飲んでいると、後ろにいやーな視線を感じた。
恐る恐る降り返るとそこには
案の定、夢々がおっかない顔して立っていた。

「お兄ちゃん……また後ろをついてきたのね……。」
聞いた事もないくらい低い声だ。
身体はぷるぷると震えている。

「ちが……違う……。」
青ざめながら、ようやくそれだけ言った。
本当は夢々の言うとおりなんだけど。

「とにかく。今度ついてきたら、絶対口きかないからね!」
夢々は、有無を言わせぬ様子でそれだけ言い、向こうへ行ってしまった。




(;Д;)怖かったYO!!
いつもはここで諦めるけど、今日はがんばる。
今まで以上に気を使い、尾行を続けた。




公園の噴水の前
そこで二人は楽しそうに話している。

チチチチチ
鳥が数匹飛び立った。

僕は鼻をひくひくさせた。
魔法の匂いがする。
あたりに魔法がたちこめてきたのだ。

今だ!!!(ノ`Д´)ノハッ

魔法の言葉を唱えていく
その言葉は風に舞い
空高く昇る
そして粉雪のように二人に降りかかった

二人はまるで気が付かなかったのだけど。

粉雪が止むと
ブランコの方から赤いワンピースを着た女の子が二人に近づいた。

奴はあろうことか

その赤いワンピースの女の子に

ついてどこかへ行ってしまった

!!!!

どういうことだ?
僕と夢々は呆然として大きな口を開けていた。

本当に別れたんだ。
奴は他の女の誘惑に誘われてどこかへ行ってしまった。
   やったね\(゚∀゚)/
これで夢々は自由の身になったぞ。

僕は喜びに
満ちて
なんかいなかった
目の前には
夢々が

泣いていた

そうだ、夢々は振られてしまったんだ。
僕はこんな事を望んでいたのかい?
夢々をこんなふうにしたかったのかい?


 ⊂⌒⊃        ⊂⌒⊃     ―‐ ● ―‐  ⊂⌒⊃
       ⊂⊃                 / | \          ⊂⊃
                  ⊂⊃
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,, ,,,,,, ,,,, ,, ,,,, ,,,,,| 逝った逝った!クララが逝った! |      \
 ,,,, ,,, ,,,,, ,,,,,,, ,,,, , \ _____________/ 駄スレも逝くった! |
||=||=||=||=||=||∨=||=||=||=||=||=||=||=||\__________ /
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,,, (,・∀・) ,,, ,,⊂   ⊃,,, ,,⊂⊂⌒ヽ、, ,,, |!____i|| , ,,,♪ (・∀・,)_ノ ,,,,, ,,,, ,, ,
,〜((  ,,), ,,,, ,,,○(   ノ ,,,, プル ))   )○/_/) ,,,, ,, とと,,___つ , ,, ,, ,,
,,,, ,UUU ,,, ,,, ,,,,,, )__)_) , ,(( (_(_ノ ))プル,,,,◎ ,, ,,, ,, ,,,,, ,,,,, ,,, ミ ピョン
| |,,, ,,,,| |,,, ,,,,| |,,, ,,,,| |,,, ,,,,| |,,, ,,,,| |,,, ,,,,| |,,, ,,,,| |,,, ,,,,| |,,
                         ※最大画面でご覧下さい

おじぃさぁぁぁぁん!!

はっ(゚д゚|||)
現実逃避をしてしまったよ。
あたりは真っ暗になっていた。

夢々はどうしたんだろう。
僕はどうしたら良いんだろう。
教えて(´д`)ママン・・・

暗い気持ちで帰ると夢々は帰ってきていた。
帰ってきてはいたが、部屋にこもりっきりでご飯も食べていなかった。
部屋の前には、冷え切ったご飯が置いてあった。

僕のせいだ。
僕が自分の為に魔法を使ったから……。

ごめん。

火星は今日が一番接近しているとニュースで言っている。
赤い火星が画面に映し出されていた。

もう一度
もう一度
魔法を使ってもいいかい?
今度は本当にあなたの為に。
あなたの可能性を無限大に引き出すために。
僕は
僕は

黒いローブを手に取った
ばさりと音を立ててそれを着る

僕は魔法使いなんだ

魔法
それはあなたの可能性を引き出す為の非科学的行為
いくつもの真理世界の言葉を紡いで作り出す

それにあなたは気が付かないんだろう

それは無意味に見えるかもしれない

だけど

僕はあなたの為に魔法の言葉を織っていくよ
あなたの未来の為に

僕は魔法が無意味じゃないと信じているから




屋根に登ると空は曇っていて星なんて一つも見えなかった。
それでも、僕はこの雲の上にある星に向かって手を差し伸べ
一生懸命に魔法の言葉を繰り返し繰り返し唱えていた。

声がかれてきた頃、

おい

といつものようにシオンがやってきた。
僕は横目でシオンを確認し、少し笑った。
シオンもチュシャ猫のようにニッと笑い、
僕の肩に乗ってきた。

たとえ、この声がかれてもいい。
もし、この魔法があなたに届くならば。

声に力を入れた。
でも、喉は限界だったようで、
ゴホゴホと咳が出た。
そのとたんバランスを崩し、僕はよろめいた。

ずざざざ……
ローブが足に絡まって上手く動けない。
落ちる
そう思ったら、屋根のといに手が引っかかった。
屋根にぶらーんとぶらさがっていた。
両手で僕の体重を支える。
手が痺れる。

見ろ!

シオンが空を見上げて言った。
僕も必死になって空を見上げる。
落ちそうだ。

空には
火星が見えていた。
雲の隙間から顔をのぞかせていた。
光が顔を照らす。

はやく手を差し伸べなければ―
そう思ったんだけど、生憎両手は僕の身体を支えるという大事な役目でふさがっていた。
早くしないと、また雲の隙間に隠れてしまう。

早く早く早く早く!!!!!

僕は大きな口を開けて

火星を

食べた

とたんに両手が屋根から離れた。
落ちる……いや、落ちている
こういう時は、時間の感覚が遅くなるようで余計な事を考えてしまった。
僕は
死ぬのかな?
落ちる瞬間、そっと目を閉じた。

ふわっ

ローブが広がり、風船のように膨らむ。
ぼよよよ〜ん
僕は風船みたいになったローブに弾かれて、
いったんバウンドしてから地面に落ちた。

膨らんだローブは
ぷうぅぅぅぅ
と情けない音を立ててしぼんでいった。

おなら?

シオンは情けないといった表情で僕を見ている。
違うよ……いつもならヒステリックに叫ぶけど、
僕にとっては危機一髪過ぎて声にもならなかった。

生きてる

僕は自分の手のひらを見つめた。
魔法が身体の中にたっぷりと貯まっていた。
静かに目を閉じ、そっと魔法の言葉を呟く。

ぽぅ

赤い光に包まれて
そして光は消えた





僕は珍しく早く起きて食パンをかじっていた。
夢々は珍しく起きてこなくて椅子は一つ空いていた。
目玉焼きの湯気が寂しい。

オレンジジュースを飲んでると、ようやく夢々が起きてきた。
目が真っ赤に腫れている。
一晩中、泣いたのだろう。
胸がずきんと痛んだ。

お母さんに朝食はと訊かれて、いらないと答えておきながら、
自分の席の目玉焼きをぺろりと食べた。

「おかしいな。
ねえ、お兄ちゃん。
食べられないって思ってたのに、急に目玉焼きが美味しそうに見えたの。
食べたら凄い美味しいよ……。
いつもと違う卵なのかなあ。」

むしゃむしゃと勢いよく食べる夢々に、僕の目玉焼きもあげた。
本当に美味しそうに食べる。

魔法が
効いたんだ。

僕は、また自分の手のひらを見た。




奴に会いに行って、昨日の真相を聞こう
もしかしたら、何かあったのかもしれないよ
真実は一つだけじゃない
一人で行けないなら僕も一緒に行くよ
あなたが幸せになるなら僕はどんなことでもするよ




    ∧∧
   (=゚ω゚)ノ τ”ゎ
 〜(  x)
   U U       (,)    〜("・)


2003.8.27. 
モノクロワールド
     モノクロワールドとは、2003年から1年間、管理人ダウが書いていたテキストサイトのタイトルです。
テキストのシリーズには、「恋する女子達」という恋をテーマに書いた短いお話も入っていました。
このタイトルが今のサイトの名前の原型です。


今、モノクロワールドはなく、
いつ壊れるか分からないパソコンの中にひっそりとテキストたちはいます。
それは何だか寂しいなと思い、またひっそりとgirls in loveにアップしてみました。


検索でひょっこり来てしまったアナタ。
お暇つぶしによろしかったらお読みください。


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