恋する女子達１４ １００数えるまで待って
なんで、あの人の事を考えると涙が出そうになるんだろう―？
海堂静香は図書館で本を選んでいる時、泣きそうになった。
最近、あの人の事ばかり考えている。
あの人…望月昴は二つ上の先輩だ。
１・２・３・４……
一目惚れだったと思う。
雨の日。ずぶ濡れになってる昴先輩を見て胸が苦しくなった。
先輩は濡れるのも構わず真っ直ぐ前を向いて歩いていた。
あの目が好き。
真っ直ぐなちょっと目にかかった前髪も。
すっきりとした鼻筋も。
むすっとした唇も。
ごつごつとした手も。
全部全部好き。
先輩の存在全部好き。
１３・１４・１５・１６……
私は心を静める時、数を数える。
小さい頃からお風呂を出る前に１００数えなさいと
言われてきた。
その頃からのくせだ。
３２・３３・３４・３５……
大丈夫。大丈夫。少し落ちついてきた。
ガラリと図書館の入り口のドアが開くたびに
どきどきしながら振り向く。
先輩じゃないかって、勝手な妄想。
三日前に偶然ここで先輩に会えた…というか見れたから
また会えそうな気がして図書館に入り浸ってる。
これってストーカー？
馬鹿な自分と無駄な時間にうんざりしながらも
立ち去れない。
４８・４９・５０・５１……
時間がないのに。
もうすぐしたら先輩は卒業だ。
その事を考えたら身体がぞわぞわする。
胸がキュウっと締め付けられる。
なんで私はまだ1年生なんだろう。
2歳も上なんて辛すぎる。
時間が止まればいいのに。
先輩の事、見るだけでも幸せだから。
だから、時間が止まればいいのに。
６０・６１・６２・６３……
ガラリ
笑い声と共に入ってきたのは先輩だった。
地面がぐらりと揺れた気がした。軽い眩暈。
耳まで心臓になったかのように全身がバクバクする。
来る前にトイレで髪を直してくればよかった。
リップクリームも塗りなおしたかった。
自分が酷く恥ずかしい。
７９・８０・８１・８２……
「お前、まだ山下さんの事忘れられねーの？｣
先輩の友達のひそひそ声が耳に入った。
「ああ。」
低い先輩の声は無機質に私の中に響く。
先輩には彼女がいた。
あの雨の日に別れたという事を知ったのは
しばらくたってからだった。
そして、彼女の事を今でも思ってる事も知ってる。
でも
９０・９１・９２・９３
でも、目の前で言われたくなかった。
９４・９５・９６
神様、お願い。１００数えるまで待って。
そしたら、涙は消えるから。
９７・９８
涙を我慢できるから。
９９
神様、お願い。
2004.5.5.
モノクロワールドとgirls in loveについて
モノクロワールドとは、2003年から1年間、管理人ダウが書いていたテキストサイトのタイトルです。
テキストのシリーズには、「恋する女子達」という恋をテーマに書いた短いお話も入っていました。
このタイトルが今のサイトの名前の原型です。
今、モノクロワールドはなく、
いつ壊れるか分からないパソコンの中にひっそりとテキストたちはいます。
それは何だか寂しいなと思い、またひっそりとgirls in loveにアップしてみました。
検索でひょっこり来てしまったアナタ。
お暇つぶしによろしかったらお読みください。
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テキストのシリーズには、「恋する女子達」という恋をテーマに書いた短いお話も入っていました。
このタイトルが今のサイトの名前の原型です。
今、モノクロワールドはなく、
いつ壊れるか分からないパソコンの中にひっそりとテキストたちはいます。
それは何だか寂しいなと思い、またひっそりとgirls in loveにアップしてみました。
検索でひょっこり来てしまったアナタ。
お暇つぶしによろしかったらお読みください。
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