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恋する女子達3 しおりの休日(前)
     「今度、ライのコンサートについてきてよね!」
望は雑誌を僕―越谷 しおり―の机に置いた。

「僕、その日は剣道の練習があるんだってば」

雑誌の表紙には望の好きなアイドルグループの”ライ”が載っている。
メンバーは5人で、超美男子ぞろいだ。
特にリーダーのノリは望のお気に入り。
聞けば身長から生年月日、好きな食べ物まで事細かに教えてくれるだろう。

「そうやって剣道剣道って、ひどい!親友の私がこんなに頼んでるのにい。
もっと女のコらしくしようよ。」
望は恨めしそうな目でこっちを見る。
確かに剣道ばっかりで望と休みの日に遊んでないような気がする。

「今度絶対遊ぶから。望ちゃんユルシテ」
僕はウインクして颯爽と部活に行くのであった。
だって、剣道部には熊谷先生がいるんだもん。
まだ望にも話してないんだけど先生を見るとどきどきするんだ。
こんなこと初めてだ。
これって恋っていうのかな。
男みたいな僕でも恋をするんだね。
望に言ったら笑われるだろう。
しかし、これで剣道にも熱が入るってもんだぜい。


ホントユルシテノゾミチャン
オンナノユウジョウハコンナモンジャコワレナイヨネ


剣道に集中する。雑念はだんだん薄れていく。
汗が頬を伝った。




放課後。街中を抜けて家に帰る。
平日の夕方はいつも帰宅する人と買い物する高校生でごったがえしてる。
向こうから長身のサングラスをつけた男が歩いてきた。
あれ?見たことある。誰だっけ?

「よ!ひさしぶり。」
誰だか分からないけど、僕は片手を上げて挨拶をした。

「へ?」
男はびっくりしてサングラスをとった。


しばし沈黙。


「あー、ライのリーダーのノブ!!!!!!」
おもわず僕は叫んでしまった。

周りが一斉にこっちを見た。
「ばかっ!」
ノブは私の手をつかんで走り出した。




人通りの少ない路地裏まで走って、二人はとまった。
少し息が切れてる。

「で、あんた誰?」
ノブはこっちを見た。
うわー。女のコみたいにきれい。
目なんてビー玉みたいにきらきらしてる。

「あー、ごめんごめん。知り合いと間違えたんだよ。」
僕は手をひらひらしながら答えた。

「なんだよ、それ。馬鹿じゃねーの?」
けらけらと笑いながらノブは言った。
むっ
ちょっとやな奴かもしれない。

むすっとしながらノブから顔をそむけると大通りの向こうっかわに
熊谷先生が見えた。
先生だ。
声をかけようか、それとも後をつけて驚かしてやろうか。
そんなことを考えてたら、目に入ってきた。
女が。
熊谷先生と楽しそうに話している。
カノジョ
頭の中に字が浮かんできた。

ウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダウソダ

チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ

呪文のように繰り返すけど、目の前の女は消えてはくれなかった。

「なーに?彼氏?にしちゃ、年が離れてるね。アニキ?」
興味深そうにノブが聞いてくる。
うるさい
そう言おうとしたけど、声はかすれて出てくれなかった。

「失恋したんなら、俺とデートしない?」
何いってるのかはじめは理解できなくて、うつろな目でノブを見つめた。
「決まり!明日、お前んちに車で行ってやるよ。しおりちゃん。」
私はまだ理解できなかった。

つづく


2003.6.25.


モノクロワールドとgirls in loveについて
モノクロワールドとは、2003年から1年間、管理人ダウが書いていたテキストサイトのタイトルです。
テキストのシリーズには、「恋する女子達」という恋をテーマに書いた短いお話も入っていました。
このタイトルが今のサイトの名前の原型です。


今、モノクロワールドはなく、
いつ壊れるか分からないパソコンの中にひっそりとテキストたちはいます。
それは何だか寂しいなと思い、またひっそりとgirls in loveにアップしてみました。


検索でひょっこり来てしまったアナタ。
お暇つぶしによろしかったらお読みください。


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